神々の集う「神話の故郷」島根県には各地で「神楽」が盛んに継承されています。
「神楽」と呼ばれる伝統芸能は日本全国に分布していますが、地域ごとにその様相は大きく異なります。
島根県内で見られる「神楽」は「出雲神楽」,「石見神楽」,「隠岐神楽」に大別され、出雲地方を中心として広く共通する特徴をもつ神楽を「出雲神楽」と呼びます。
出雲神楽は「七座(面を着けない神事的な舞)」,「式三番(祝福の舞)」,「神能(面を着けて行う神話劇)」により構成され、江戸時代におよそ現在の形になり連綿と継承されています。
「神能」では古事記・日本書紀に登場する「出雲神話」にちなんだ演目(八岐大蛇退治、国譲り、山の神、天の岩戸など)が多くありますが、菅原道真や坂上田村麻呂といった実在の人物が登場する演目もあります。
映像は国指定重要無形民俗文化財・大土地神楽の演目「荒神」で、他の出雲神楽では「国譲り」とも呼ばれています。
<荒神のストーリー>
天照大神の勅命により武甕槌神と経津主神が出雲の国を譲り受けようと大国主大神を訪ね、稲佐の浜で談判の結果大国主大神は国を譲ることに承諾されます。しかし、その子である武御名方神は話し合いだけでは納得がいかず、力比べを申し出て戦われますが、長野の諏訪まで追い立てられ、そこで降参します。その武勇に感心した天照大神は諏訪の社を造られ、武御名方神がこの地方を守っていくまでを描いたものです。